暗殺チーム第三の刺客は生ハム兄貴プロシュートとマンモーニのペッシ。五部でも屈指の人子を誇る兄貴舎弟コンビです。
今回は外見美麗内面剛毅、一分の隙なきイケメン兄貴のイケてる伝説…ではなく、あえて『プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育』というテーマでその魅力に迫ってみたいと思います。
- 1 暗殺チーム第三の刺客プロシュート
- 1.1 プロシュート兄貴は新人教育担当?
- 1.2 プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育論①「周りへの気配りを忘れるべからず」
- 1.3 プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育論②「恐怖から顔を背けるべからず」
- 1.4 プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育論③「不言実行『ぶっ殺す』禁止令」
- 1.5 プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育論④「ギャングたる者己の勘を疑うべからず」
- 1.6 プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育論⑤「有言実行『とことん』やる」
- 1.7 プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育論⑥「目的のためならナリフリかまうべからず」
- 1.8 プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育論⑦「スタンドは死ぬ迄解除するべからず」
- 1.9 プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育論⑧「称賛を惜しむべからず」
- 1.10 プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育論⑨「死に様という名のラスト・レッスン」
- 1.11 プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育論教⑩「最後の言葉は信頼の証」
- 2 スタンドに見るプロシュートの人格
- 3 まとめ
暗殺チーム第三の刺客プロシュート
- コードネーム:プロシュート(生ハム)
- 年齢:26~29歳、案外三十路かも?(リゾット28歳、ブチャラティ20歳あたりからの比例から推測)
- スタンド:ザ・グレイトフルデッド(通称グレフル)
- 対戦:ミスタ ブチャラティ
- 戦果:黒星(列車から落ちながらも張り付き、力尽きて死亡)
- 声優:鈴木達央
プロシュート兄貴は新人教育担当?
プロシュートはその容姿の完璧なまでの美しさと苛烈な生き様死に様で有名であると同時に、舎弟(としか思えない)ペッシへの熱血指導で知られています。
ハッキリ言って兄貴の教育は甘くはなく、普通に殴るは蹴るは罵倒するはのスパルタ方式です。けれども、ペッシはそんな兄貴を恨むどころか心の底から尊敬・崇拝すらしていました。何故なら兄貴は厳しく叱った後には必ずペッシをさり気なくフォローし、弟分が成果やら根性を出せばその都度必ず褒めるからです。
『この人に叱られたくない』とペッシを萎縮させるだけでなく、『兄貴に褒められたい』『兄貴に認められる一人前の男になりたい』と思わせるカリスマがプロシュートにはありました。
女王様気質の兄貴はその実――というかそれ故に人の心の機微に敏く、飴と鞭の使い分けが天才的に上手いカリスマ教官なのです。
プロシュートをペッシの教官に任命したのがリーダーのリゾットだとしたら、適材適所の人選はさすがとしか言いようがありません。おそらくリゾットは、プロシュートならば言葉・行動・生き様・死に様の全てでギャングの在り方を教えられると踏んだのでしょう。
そして実際に兄貴の背中を最期まで見て学んだペッシは、言葉ではなく心で兄貴からのメッセージを理解し急成長を遂げました。
プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育論①「周りへの気配りを忘れるべからず」
アニメのオリジナルエピソードにて繰り広げられたペッシと兄貴のやり取り。
皆で集まるカフェでエスプレッソを優雅に嗜む兄貴の隣でグラスのミルクを飲むペッシ。そんなペッシを仲間が『またミルク飲んでんのか?』とからかったのをキッカケに、兄貴のお説教開始。
『ペッシ、だからお前はマンモーニだってんだ。連れがミルク飲んでるってだけで恰好つかねーんじゃねーかって考えがよぎらねーんだからな。なんのためにこのビジネスに同行させてると思ってんだ?そういうところから直していけ』
個人の飲食の好みくらい別にいいじゃないかと我々一般人は思いがちですが、ギャング稼業は気負いの稼業、舐められたらオシマイなのです。
ただし、兄貴ならば説教した後に『エスプレッソを胃が受け付けねーってなら、カフェオレかカプチーノにしとけ』とさり気なくフォローを入れてくれそうです。ドSのSはサービスのS、馬鹿に女王は務まりません。
そもそも、『そういうところから直していけ』という言い方に愛情を感じませんか?『あれも駄目!これも駄目!!』と漠然とした駄目出しばかりをヒステリックに連呼するのではなく、その都度『何故それが良くないのか』を厳しくもわかりやすく諭す様はまさに『説いて教える』本来の意味での説教です。
プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育論②「恐怖から顔を背けるべからず」
輪切りのソルベのあまりの恐ろしさに『これ以上はもう見たくね〜』と泣き言を言うペッシに対し『黙ってろ』と一喝。
ギャングたる者、いつどこでどんな死に方をしても可笑しくはない。常に覚悟を決めて生きるべし。
そんな気構えが、凄惨な光景から決して目を反らさないプロシュートから伝わってきました。
プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育論③「不言実行『ぶっ殺す』禁止令」
『おいオメ―、さっきからうるせぇぞブッ殺すブッ殺すってよぉ。そういう言葉は俺たちの世界にはねぇんだぜ。そんな弱虫の使う言葉はな。何故なら俺や俺たちの仲間はその言葉を頭の中に思い浮かべた時には実際に相手を殺っちまってもう既に終わってるからだ!』
『ブッ殺してやる』を連呼するペッシに向けて、兄貴が駅構内で堂々と言い放ったありがたいお言葉がこちら。
行為の内容は物騒極まりないものの、口だけは達者なくせに何も行動を起こさない世の臆病者共に聞かせたいセリフですね。
ギャングの世界に足を踏み入れ、しかも暗殺チームという組織内ですら『汚れ』と見なされる場所にいながら、どことなくシャバっ気の抜けないペッシに『ギャングであること』『暗殺者であること』をガツンと言い聞かせた兄貴にしびれます。
ここで面白いのは、敵対する立場であるブチャラティが兄貴とまったく同じことを言っている点です。
ブチャラティは本来ギャングになどならずともカタギの世界で十分上に登れる人間でしたが、本人の責任ではない不幸な事態に幼くして陥り、のっぴきならぬ事情からギャングになりました。そこで彼は己の境遇を言い訳に甘えることなく、選択した道に相応しい『覚悟』を決めたのです。
五部には基本的に完全無欠の『善人』は登場しません。主要キャラ全員がギャングという謂わばアウトローであり、それぞれに夢や理想や信念はあるものの、その通し方は殺人をも厭わぬ非合法的手段です。それは主人公のジョルノですら例外ではありません。
『ブッ殺すと心の中で思ったなら!その時既に行動は終わっているんだ!』とは、五部キャラたち全員が本質的に持っている覚悟であり、そういった意味でもプロシュートは『黄金の風』を象徴する存在の一人です。
ちなみに兄貴は説教の最後に『ブッ殺したなら使ってもいい』と、サラリとOKワードを提示しています。NGを出すならセットでOKも指示するあたり、兄貴は素晴らしい教育者です。
[quads id=2]プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育論④「ギャングたる者己の勘を疑うべからず」
兄貴は外見にそぐわず超絶直感型です。もちろんナランチャ的な愛すべきお馬鹿キャラではないのですが、ホルマジオやイルーゾォがロジカルに推理して行動、戦闘もジョジョ特有の戦略的頭脳戦の側面があったのに対し、兄貴のそれはかなりの肉弾戦でした。
[getpost id="2542"]そんな漢らしい兄貴は駅で亀の中に入ったブチャラティを身失った際も、あーだこーだと屁理屈をこねくり回すことなく『俺の勘だ!ブチャラティたちはどうやってかはわからんが、この列車のどこかにいるような気がする!』だけで躊躇なく列車に乗り込みます。
これにはペッシも『気がするですってぇ!?気がぁ!?』と驚いていましたが、結果は大正解。
時間がある時は軽挙妄動せずに熟考すべきだが、至急の判断が事の明暗を分ける場面では己の直感を信じ、決めたことを迷わず完遂すべし。
慎重というよりも臆病なところのあるペッシに、プロシュートは己の行動でそれを教育しました。ここで勘がハズレると些か間抜けでペッシに不信感を与えてしまいますが、要所で絶対に外さないのがイケメン兄貴のカリスマです。
プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育論⑤「有言実行『とことん』やる」
列車に乗り込んだプロシュートは、最初はブチャラティたちをペッシと挟み撃ちにするというオーソドックスな作戦を取りました。奇をてらわずに、まずは確実にセオリーを踏み被害も不必要に広げない――賢明な判断です。しかし、亀の中にいるブチャラティたちは当然そんなありきたりなリサーチには引っかかりません。
ここでプロシュートの名言『とことんやる』が飛び出します。
プロシュートは自らのスタンド『グレフル』を発動させ、列車全体を自身をも含め老化させるという苛烈な行動に出ました。
ブチャラティたちがいる確証もないのに、無関係の乗客を巻き込むのか!?とビビるペッシに対し、兄貴は平然と言い放ちます。
『言っただろうがよぉ!とことんやるってな!奴らは絶対いる。それに大したことはねぇだろ?毎年世界中のどっかで旅客機が墜落している』
何というぶっとんだ理屈!兄貴の女王様気質がもっとも色濃く匂ったシーンではないでしょうか。
プロシュートの思想・言動の倫理的是非は別として、ここまで己の決断を躊躇なく完遂出来る人間がこの世にどれだけいるでしょう?
兄貴の言葉に虚飾はなく、『とことんやる』と口にしたからには真実『とことん』やるのです。
ギャングたる者、口だけのチャラいチンピラであってはならない。
兄貴の教育は実践ありき、説得力の塊です。
プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育論⑥「目的のためならナリフリかまうべからず」
プロシュートの『グレフル』は、敵のみならず彼自身をも老化させることが出来ます。老化能力によって老人だらけとなった車内で、プロシュートはミスタに近づくため自らヨボヨボの老人になりました。それはもう、ペッシに『ゾンビ臭い』と酷評されるほど無惨な姿に。
パリコレモデルも俯き道を譲るような美貌の兄貴が、艶のない乾いた肌に老人斑を浮かべ、歯の抜けた顔と曲がった背中を舎弟の眼前に晒す。
これは非常に勇気ある行動です。人は誰しも己の老いさらばえ醜くなってゆく姿を隠したがり、時に滑稽なほど誤魔化そうと足掻きます。それを兄貴は隠すことなく堂々と曝け出しました。
人は誰でもいつかは醜く老いて死んでいく。それは美貌の女王様ギャングである己とて例外ではない――で、それがどうした?
だからこそ、そうなる前に栄光を手にするんじゃあないか。
ナリフリ構わぬ兄貴の戦いからは、そんな目的にたいするストイックなプロ意識が見えます。
プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育論⑦「スタンドは死ぬ迄解除するべからず」
ミスタのピストルズに齧っていた氷を吹っ飛ばされたペッシは、身体を冷やせなくなる=自分も老化してしまう!とビビリ倒し、『ビーチ・ボーイ』を解除し兄貴を激怒させました。そりゃぁもう殴り飛ばして蹴り潰して顔面靴裏でグリグリするほどに。
『そりゃぁ確かにいきなり氷をぶっ飛ばされたんだ。衝撃を受けるのは当然だ。自分まで老化しちまうんだからな。俺だってヤバいと思う』
とまずはペッシの言い分を代弁して共感を示し、しかる後に――
『だが!俺たちのチームの他の奴なら後もうちょっとで喉に食らいつけるってスタンをを、決して解除したりはしねぇ!たとえ腕を飛ばされようが足をもがれようとな!』
と激烈に叱責。
何が怖いって、兄貴のこの言葉が誇張ではなく真実であることです。ホルマジオはハチの巣&火だるまになりながらもナランチャと戦い続け前のめりに倒れ。イルーゾォも若干の間抜けさはあったものの、自ら腕一本捨ててでも勝ちを掴みにいき。そして兄貴自身は全身ぐちゃぐちゃになっても息絶えるまでスタンドを出し続けました。
ギャングたる者、正念場で命惜しさにビビったら負け。本当に欲しい物があるならば、命を投げて1センチでも先に手を伸ばせ。掴んだモノは死んでも離すな。何も掴めず長らえるだけの生など無価値、ナリフリ構わず栄光を掴んでこそ生は初めて価値を持つ。
そうしたプロシュートのギャング道が伺える名言です。
しかし、ここでも兄貴はペッシを叱るだけではなく『俺でもビビる』とさり気なく共感を示しフォローを入れます。嚴しい鞭の中にもそっと飴を忍ばせる、これこそが兄貴流教育の極意でしょう。
そして何よりも兄貴の教育は熱い!
相手の目をしっかりと見て話をすることはコミュニケーションの基本ですが、兄貴の場合は吐息すら届く恋人の距離で『成長しろ!』とペッシを叱咤激励……これって完全に飴ですよね!?
プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育論⑧「称賛を惜しむべからず」
プロシュートは叱り方も厳しいけれど、褒め方認め方も徹底しています。とことん評価します。そりゃあもう、スキンシップ過多というか、顔近過ぎぃッ!なほどに。
兄貴に叱られ自信をなくしたペッシの両頬に白い手を添えサスサスしての『ペッシペッシペッシペッシよぉ〜〜』をアニメで見られる日が来るとは……兄貴ファン感無量です。『ペッシおまえその場所代われ!ミルク5リットル買ってやるから!』と、一体何人の視聴者が画面の前で思ったことでしょう。
こんなキレイな人に至近距離で見つめられながら名前を連呼され、『俺はおめーを信じてるんだ。おまえのビーチ・ボーイはその気になりゃ何者にも負けねぇ能力じゃあねぇか』などと言われた日には、ペッシでなくとも奮起します。これを計算してやっているならば兄貴は小悪魔どころではないし、素でやっているならば恐るべき人タラシとしか言いようがありません。
褒めるべきは徹底的に褒め、評価すべきは最大限に言葉を惜しまず評価する。褒賞筆罰のメリハリをしっかりとつける。
この極端なまでのわかりやすさが、ペッシのような高い潜在能力を持ちながらメンタルの問題で出し切れない人間には適しています。
ちなみに、兄貴は叱責で詰め寄る時は威圧すように上から。褒める・評価する・励ます時はやや下から見上げるようにしてオデコこつんと使い分けます。
プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育論⑨「死に様という名のラスト・レッスン」
己のギャングとしての背中を見せペッシを教育してきたプロシュートは、最後の最期にその死に様によってペッシを急成長させました。
相手の喉元に食いついたら、腕が飛んでも足がもげてもスタンドは解除しない。
プロシュートはその言葉を違えることなくとことんやり抜きました。時速150キロで走る列車から叩き落とされ全身を複雑骨折(おそらくは内臓も破裂)した歪な姿で列車にしがみつき、『グレフル』を発動させ続けた精神力。そんな兄貴の凄絶な覚悟がマンモーニのペッシを一人前のギャングに変えたのです。
『兄貴の覚悟を心で理解』して男になったペッシの顔を見せてあげたかったけれど、きっと兄貴は覚醒したペッシの雄々しい姿を心で感じていたことでしょう。
プロシュート兄貴の名言から学ぶ教育論教⑩「最後の言葉は信頼の証」
プロシュートは凄惨極まりない姿で、それでも微かな笑みを浮かべペッシに最後の言葉を残しました。
『やれ…栄光はおまえにあるぞ…ペッシ』
『やるんだ…俺は…おまえを見守っているぜ』
厳しかった兄貴から弟分に向けての別れの言葉。この短い言葉の中に兄貴は全ての思いを込め、頼りなかったマンモーニへの卒業証書としたのです。
己が死んでもチームが栄光を掴んだならば、それは敗北ではない。俺の屍を踏み台におまえが栄光を掴め。
そう言っているかのような死に顔はあくまでも誇り高く、敗れて尚負け犬のそれではありませんでした。死に際に笑える男こそが佳い漢なのです。
スタンドに見るプロシュートの人格
『グレフル』はハッキリ言って使い勝手の良いスタンドではありません。やたらな場所で発動すれば、大量のオカルト的不審死事件として注目を集める上に、フーゴの『パープル・ヘイズ』同様敵味方関係ない無差別型だからです。おそらく、プロシュートは『とことんやる』時以外はスタンドではなく生身で修羅場を抜けてきたのではないでしょうか。己のスタンドにすら依存せず、生身の『ただのプロシュート』としても強く誇り高く在ったに違いありません。
また、『グレフル』は本体である兄貴自身にとっても残酷なスタンドです。自身の数十年後の姿を正確に見ることができてしまう能力。地味にキツくないですか?これ。
人は誰でも老いて死ぬ。子供でも知っている自然の摂理でありながら、誰もが先送りにして目を逸らす真実と真っ向対峙する心の強さ。『グレフル』はそうした兄貴の強さそのものに思えます。
まとめ
もはや兄貴に関して語りたいことはあらかた語り尽くした気もしますが……とにかく兄貴は教育者として優れ、女王様として完璧で、容姿モデルの内面漢な文句なしのイケメンです。
また、プロシュート兄貴は数々の名言を残しており「全てにおいて一本筋のとおった名言ばかり」でしたね。
ちょっと前歯二本が大きめなのも、兄貴の場合はマイナスではなくプラスのチャームポイントにしか見えません。
敵であるブチャラティに対しても、その覚悟を認めれば平等に評価する度量の持ち主でもある兄貴の、華麗なるギャングキックを見ながらお別れしましょう。アリー・ヴェデルチ!