可愛いマンモーニからの覚醒!凄みある暗殺者ペッシの成長と覚悟

プロシュートの兄貴と共に、暗殺チーム第三の刺客としてジョルノたちの前に立ちふさがったペッシ。初登場時にはマンモーニ(ママっ子)のペッシと呼ばれながらも、兄貴流魂の教育によって凄み溢れる暗殺者として飛躍的に覚醒したペッシ成長の軌跡を追いかけてみました。

暗殺チーム第三の刺客「ペッシ」

コードネーム:ペッシ(魚料理)年齢:10代後半(ジョルノ15歳フーゴ16歳あたりからの比例推測)
スタンド:ビーチ・ボーイ
対戦:ブチャラティ(間接的にミスタ)
戦果:黒星(ブチャラティとのタイマンでバラバラに)
声優:木村昴

殺人童貞な暗殺者

まず特筆すべきは、ペッシがギャングの暗殺チームという物騒オブ物騒な団体に所属しながら、殺人未経験であったことです。普通に考えて、ギャングになるような人間は殺し殺される覚悟を決めているもので、齢15の主人公ジョルノでさえ迷わずポルポを殺害してのけました。ことの是非は別として、カタギの道から外れるとはつまり『そういうこと』なのです。

ましてやペッシの配属先は暗殺チーム。配属初日に『簡単な仕事だ。ちよっと行って○○をブっ殺してこい』と仰せつかっても可笑しくはないでしょう。
それにもかかわらず、ペッシの『初めての殺人』はプロシュートをグシャグシャにされてからでした。
一体どういった経緯でパッショーネに入り、何を基準に暗殺チームに配属されたのか、まったくもって謎であります。

もしかしたらペッシは先天性のスタンド使いで、『ビーチ・ボーイ』を用いてセコイ万引きやらスリやら置き引きなどを繰り返していたのかもしれません。そして――

羽振りの良さそうなプロシュートの財布でもすろうとして失敗→生身の拳で顔が変わるくらいボコられた上で厳しくも熱い超説教を正座で拝聴→よくわからないまま兄貴の勢いに押され暗殺チーム所属

――とかではないでしょうか。

牛乳大好き!かわいいマンモーニ

プロシュートの『ビジネス』に同行させてもらったペッシは、エスプレッソを優雅に嗜む兄貴の隣でグラスのミルクを飲むという可愛らしい姿を披露しました。
何でもペッシはコーヒーが苦手で『飲むと胃がゲーってなる』そうです。子供みたいですね、さすがマンモーニ。

もっとも、この行為は『連れがミルク飲んでるってだけでカッコつかねーんじゃねぇかって考えがよぎらねーんだからよ!そういうところから直していけ』と、兄貴から叱責されてしまいます。

しかし、それにもかかわらず、やはりペッシはミルクを飲み続けます。
この時は兄貴もペッシを叱っていないので、もしかしたら本当にアレルギーレベルで身体がコーヒー(カフェイン?)受けつけないのかもしれません。
イタリア人なのにコーヒ飲めないとは、不憫可愛いマンモーニです。

ちなみに、ものすごく偏見入った意見ですが――

イルーゾォは牛乳飲むとお腹ゴロゴロホルマジオはパックごと男らしく一気飲みからの路上ポイ捨て(コーヒーの良し悪しはわからない残念舌)ギアッチョはエスプレッソでカフェイン取ると普段以上にキレ芸キレキレメローネ無駄にエロいから人前で牛乳飲んだらアカンリゾットはマイペースにプロテイン(三部でもやっていけそうなガタイ)…ソルジェラ互いの口にエスプレッソとミルク含んでソファでイチャイチャしながらカフェオレにして飲んでたら良いと思います。

腰抜けマンモーニ

ホルマジオが『リトル・フィート』を使って強烈なやり口でターゲットを始末するのを目にしたペッシは、あまりの衝撃映像に腰を抜かして立てなくなりました。確かに北斗神拳の悪役ばりに人体が内から爆ぜたら、普通の人間は腰が抜けます。人によっては失神してもおかしくありません。

しかし、暗殺チームの一員がこれではいけません。実際、他のメンバーは『いつものこと』『ちょろい仕事だった』とでも言いたげに、見慣れたものを見る目で惨状を眺めていました。

このことからも、ペッシは生粋のギャング・暗殺者志望での入団ではなかったように思えます。

身体ばかり大きなグズのマンモーニがたまたまスタンドを持っていたものの、ビビリな性格が災いし有効活用もできず腐った毎日を過ごしていたのではないでしょうか?
チームメイトのホルマジオやソルジェラが、スタンドの有る無しに関わらずカツアゲする側だとしたら、ペッシは間違いなく中坊からカツアゲされる側です。

ペッシ
引用元:ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風BS11放送分より抜粋

その証拠といってはなんですが…ブチャラティのサイドキック一発もらって白目剥いて失神。ブチャラティが喧嘩慣れしているのもありますが、どう見てもペッシは生身でのステゴロ苦手です。

ペディキュア知ってたマンモーニ

『輪切りのソルベ』事件でアジトに送りつけられたグロテスクなアートが、ソルベの足指だと最初に気づいたのは意外にもペッシでした。

そのキッカケとなったのが、ソルベが爪に施していた『ジェラートとオソロのペディキュア』

ソルジェラの関係について夢膨らむアニオリですが、殺人だけでなく本来の意味でも童貞臭いペッシが『ペディキュア』という単語を知っていたことに驚きを禁じえません。

これも兄貴に教えてもらったのでしょうか?
いかにもイタリアの伊達男といった風情のプロシュートならば、身嗜みの一つとして爪磨きくらいしていても違和感がありません。もしかしたら、そうした『雑用』はペッシの仕事だったとか…。

兄貴の爪を丁寧に磨きながら)
『ソルベとジェラートは足の爪にオソロのマニキュアしてましたぜ。兄貴はやらないんですかい?』
『あ?やるわけねーだろ。それによーペッシ、足の爪に塗るのはマニキュアじゃあねぇ、ペディキュアだ。覚えておけ』

――マンモーニの発した『ペディキュア』の一言から、そんな会話を想像してニヤニヤ出来るのがオタクです。

マンモーニの交友関係

ペッシといえば、常にプロシュートの兄貴の傍らに控えている舎弟のイメージが強く、他のチームメイトと個人的に親しくしている印象はありません。

しかし、アニオリによって意外にもペッシがソルジェラと仲良しであったことが判明しました。

実際に仲良しな姿が描写されたわけではありませんが、二人が『オソロのペディキュア』をしていることを知っていたのはペッシだけだったことから、それなりに親しく言葉を交わしたいたのではないでしょうか。

二人してマンモーニに見せびらかしたのか、どちらか一方が『いーだろ、オソロなんだぜ!』と自慢したのか、あるいはペッシが一人でアジトに帰ったら二人でイチャつきながら塗り合いっこでもしていたのか。

いずれにせよ、マンモーニには刺激の強い職場です。

グロ耐性低いマンモーニ

視聴者に衝撃を与えた『輪切りのソルベ』を見たときのペッシのリアクションは、限りなく一般人のそれでした。

『もう見たくない』と怯えては兄貴にどやされ震えていたペッシ。人として至ってまっとうな反応ではありますが、主人公サイドですら踊りながら拷問キメるギャングの世界では、ヘタレの誹りを免れません。

実際、ペッシ以外のメンバーは顔を引きつらせ冷や汗を浮かべてはいるものの、露骨に怯えて目を背ける者はいませんでした。仲間内であっても安易に弱みを見せず、ギャングとしての体裁を守ってこその暗殺者なのです。

普通の人寄りなマンモーニ

いよいよ兄貴とペアでジョルノたちを追って出陣したペッシですが、ここでも彼はそのマンモーニっぷりを遺憾なく発揮してくれました。
兄貴の『とことんやる』宣言を聞いていたにもかかわらず、実際にプロシュートがグレフルを発動させれば無関係の乗客大量巻込み?!』と焦りを隠せません。

もちろん、これは『人として』考えれば至極まっとうであり、イカレているのはプロシュートの方です。
しかしペッシは平穏な世界を捨てギャングという『普通じゃない』生き方を選んだ側の人間。そこでの価値感はすべからく『表の世界』とは異なることを覚悟すべきです。

ここに至るも、未だペッシが『普通の感性』にしがみついていることがわかるリアクションでした。

兄貴を激怒させたマンモーニ

このミッションで、ペッシはプロシュートをガチギレさせる失態を犯しました。

氷を失ったことにより、自分もグレフルで老化することを恐れてのスタンド解除。

これも『普通』に考えれば仕方のない話ですが、兄貴はペッシが『普通』を言い訳にギャングとしてあるまじき甘ったれた行動を取ることを決して許しません。
殴られ蹴られ踏まれ罵倒されながら、ペッシは一言たりとも口答えせず、ただひたすら平伏し兄貴の怒りが去るのを待っていました。賢明な判断です。

実はこの時、兄貴の怒りの凄まじさとゼロ距離説教のインパクトのため忘れがちですが、ペッシは右手の小指をミスタの弾丸で吹き飛ばされています。

かなり痛かっただろうに、ペッシはそこの所にはほとんど触れず、兄貴にのみ注意を向けていました。ここで『指がなくなった』だの『手が痛い』だのと泣き言を零せば、さらに兄貴の怒りを買うと理解していたのでしょう。思ったより空気は読めるようです。

自信のないマンモーニ

兄貴に叱られたことが尾を引き、『そ、そのことなんだけど兄貴…あんまり期待なんかしねーでくれよ…俺、勘が悪いし…』といじけてしまうペッシは、やはりまだまだ甘ったれたマンモーニです。
一人前の男たる者、ここは少しでも汚名を返上すべく積極的に動かねばなりません。

ペッシのそうした子供じみた気持ちを察したプロシュートは、叱責する時とは打って変わった優しい口調でペッシを認め、自信を持たせようとしました。この辺りの接し方…完全にオカンです、兄貴。

やる時はやる!一皮剥けたマンモーニ

ここまでマンモーニ街道を一直線に走ってきたペッシが、視聴者に初めて根性を見せたのは敬愛する兄貴が列車の外に放り出されピンチに陥った時でした。

『列車を止めろ!』とプロシュートから命じられるものの、鉄オタでもないただのギャングに列車の止め方などわかるはずがありません。

ここでペッシは咄嗟の判断で最大のファインプレイをキメました。

止め方のわからない列車を止めることをスッパリと諦め、代わりに『ビーチ・ボーイ』を振り出し兄貴の掌に針を掛けて一本釣り。
相当痛そうなレスキュープランですが、あの時あの場でペッシに出来るベスト・チョイスであったことは間違いありません。これには何かと評価の手厳しい兄貴も『でかしたぞペッシ!気が利いたな!』と合格点を出しました。己がどんな状況でも下の者のファインプレイはタイムリーに褒める兄貴、指導者の鑑です。

いつも守ってもらってばかりだった兄貴の命を、己の手にした竿一本で支えている。

その自覚がペッシを一気に成長させたのです。

覚醒した暗殺者

成長したペッシが暗殺者として完全な覚醒を遂げたのは、列車から落ち死んだかと思ったプロシュートが、ボロボロになりながらもグレフルを出し続けるのを目の当たりにした時です。

『手足がもげてもスタは解除しない』と言い切った兄貴が、正に人生最後の有言実行によって覚悟を示している。

その苛烈な事実がペッシを打ちのめし、奮い立たせました。

『兄貴の覚悟が言葉ではなく心で理解できた』

ペッシ最大の名言が飛び出すと共に、優柔不断で臆病なマンモーニが消え去り一人の凄みを纏った暗殺者が生まれた瞬間。顔つきまでが一瞬にして別人となりました。

手始めに彼を『マンモーニ』と馬鹿にした乗客を始末したペッシは、初めての殺人にももはや心を揺らすことはありません。

どこまでも兄貴と共に…

マンモーニから凄みを帯びた暗殺者へと変貌を遂げて尚、ペッシにとってプロシュートは特別な存在『兄貴』であり続けました。
ブチャラティとの戦いの最中、ペッシの心を占めていたのはおそらく『指令』や『栄光』ではなかったでしょう。もっとシンプルにより純粋に――

兄貴の息のある内にブチャラティを殺して仇を取りたい。それが出来る男に成長した姿を兄貴に見せたい。

ただそれだけだったのではないでしょうか。

物理的に離れていても、もはや互いの声すら届かなくても、ペッシの精神には常に兄貴が寄り添っていました。ペッシは己の心が弱くなりそうになった時、『疑心暗鬼は心の弱さだ!プロシュート兄ィならきっとそう言ってくれる!』と、崩れかける己を一人で立て直せるだけの精神力を持ったのです。

スタンドに見るペッシの人格

ペッシのスタンド『ビーチ・ボーイ』は単純にして使い勝手の良いスタンドです。

攻撃範囲の緻密な設定、針による索敵、敵と対峙しての近距離パワー型戦闘。

イルーゾォのようなチート的強さではなく、応用力次第で無限に可能性が広がるスルメスタンドと言えるでしょう。そういった意味ではブチャラティの『スティッキィ・フィンガーズ』に近いかもしれません。

索敵の緻密さからはペッシの臆病とも言える繊細さ、慎重さが。
見かけによらぬパワーの強さからは、ペッシの潜在能力が。
そしてブチャラティとのタイマンで見せた、一度敵の体内に入ったら心臓目掛けて突き進み、絶対に殺す!という特質からはペッシの執念深さと殺意の強さが伺えます。

ペッシが最後に見せたまっすぐな殺意、惚れ惚れしました。

まとめ

スタンドの成長性Aであったペッシは、本体もまた登場から死亡までの短時間に急成長を遂げたキャラクターです。
イルーゾォあたりにイジメられていそうなマンモーニが、後半一気に覚醒する姿にはある種のカタルシスすらありました。

主人公サイドだけでなく、敵側もまた戦いの中で成長する公平さは、ジョジョという作品の魅力の一つでしょう。

ギャングで暗殺者というアウトロー・オブ・アウトローとして短い人生を終えたペッシですが、兄貴との間に確かな絆を結び、最後まで共に在れたのは幸せだったのではないでしょうか。心から尊敬できる上司や先輩と巡り会えることは、それだけで人生における僥倖です。
それだけに、もうプロシュートが助からないと理解した時の『俺の兄貴が!』と絶望するペッシの姿は、見ていて胸が痛みました。

オープンテラスで兄貴とミルクを飲むペッシを見ながらお別れしましょう。


引用元:ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風BS11放送分より抜粋