第五部『黄金の風』も最終回を迎え早数カ月、物足りない思いをしているJOJOファンも多いことでしょう。
しかしここで朗報!
第四部『ダイヤモンドは砕けない』の超人気キャラ岸辺露伴のスピンアウト作品『岸辺露伴は動かない』の新作が間もなく発売されるのです。
今回からの全3回で、そんな素敵キャラ露伴先生が主役を張るアニメ『岸辺露伴は動かない』をご紹介しつつ、彼の溢れる個性に触れていきたいと思います。
細かい内容に入る前に一言。
相変わらず服装の主張が強いです先生。そして腰つきエロいです、この漫画家。
岸辺露伴は動かないのアニメ『ザ・ラン』と『懺悔室』発売日はいつ?
『岸辺露伴は動かない』OVA第二弾の発売は2020年3月25日。税込み7800円にてアニメイトなどで予約受付中です。
先生、メッチャ走ってますね。本編でもメッチャ走りますよ、露伴先生。
てか、先生なにげに身体能力高く、座りっぱなしの漫画家とは思えません。坐骨神経痛とかと無縁なのでしょう。羨ましいかぎりですね。スタイルやたらいいのも納得です。
『ザ・ラン』のダブルミーニングなオチは秀逸なので、是非原作と合わせてごらんください。
主役の青年・陽馬も、『こんな奴いるわけねーだろ!……あ、でもちょっとこういう感じの奴いるかも?』と思わせる絶妙なバランスのサイコ野郎でナイスです。
『懺悔室』は1997年、第五部連載中に描かれた作品です。そのためか舞台はイタリアのヴェネツィア。
作品中で五部が始まる少し前、暗チに輪切りのソルベが届いた頃でしょうか…、漫画家も大変なものを見ていたと思うと面白いですね。もっとも、露伴の場合は本人の好奇心から積極的にトラブルに突撃しているわけですが。
彼はスタンド使いじゃなかったら、あるいは頭脳が間抜けなお馬鹿さんだったら、普通に考えて好奇心で1カ月に1回くらいのハイペースで死んでるタイプ。というか、ヘブンズ・ドアーで躊躇なく他人のプライバシーを読みまくってる露伴は、一片懺悔室で懺悔した方がいいでしょう。
本人に罪悪感ゼロだから無理でしょうが……。
原作との違いは何かある?アニメにすると違和感はない?
JOJOは『岸部露伴は動かない』に限らず、1~5部までのアニメシリーズ全編通して原作に忠実に作られたアニメとなっており、恐らく、アニメスタッフ―それも偉い人の中にディープなJOJOオタがいるのではないかと疑うレベルで、原作へのリスペクトが半端ない!
描写的に引っかかりそうな猟奇的表現も、深夜枠放送にすることで可能な限り忠実に再現されており、個性的なタッチや色彩も、ほぼほぼ作画崩壊回なしで全体を通し素晴らしいクオリティ。
一目で荒木先生だとわかる雲の描き方、一歩間違えると目が痛くなるようなカラーリングもイラスト並の完成度で再現しているから脱帽です。
特に物語の途中でガラリと配色を替える演出は、さりげなく取り入れられているものの大変な手間でしょう。原作に敬意を表し良いアニメを作るためには手間暇を惜しまない!その姿勢に痺れる憧れるぅぅぅ!
ちなみに露伴の顔は初登場から最新の『岸部露伴は動かない』まででかなりの変貌を遂げていますが、これはアニメスタッフのミスではありません。むしろ原作に忠実であるが故の変遷といえましょう。
[getpost id="5804"](初登場)病的にヤツレてサイコ臭プンプンな険しい顔
個性的なファッションの変人だけど険しさが減少。見下し&偏屈オーラはまだまだ健在
ファッションがアレなだけでセクシーな美青年(現在)
といった具合に。
荒木先生の絵柄そのものが1~3部マッチョ、4~6部細身、7~8部細身かつ画面が白い(影のつけ方に変化)と変化してきているので、長期にわたる短編スピンアウト『岸部露伴は動かない』シリーズは時期によって絵柄が違うのです。
アニメ『岸部露伴は動かない』は既にリリースされている『六壁坂』『富豪村』を見てもわかるように、比較的最近の絵柄で描かれています。
5部の陰影バリバリな絵柄で描かれた『懺悔室』は果たしてアニメでどう表現されるのか?原作に忠実な5部テイスト?それとも『六壁坂』『富豪村』『ザ・ラン』に会わせて絵柄改変?いずれにせよ楽しみです。
ただし、顔が変わっても中身はずーーーっと露伴ですが……
アニメ版『岸辺露伴は動かない』の声優は誰?
キャラクター造形と並んで気になるのが声優。
ファン一人一人の頭の中にいるキャラクターが、実際にどんな声で喋るのか?
これはとても気になるところです。
岸辺露伴=櫻井孝宏
前作OVAに引き続き、主役の岸辺露伴のCVは櫻井孝宏さん。
高過ぎず低すぎず、軽い演技もシリアスな演技も幅広くこなすイケボな櫻井さんは露伴先生にピッタリだと思います。
おそらく、多くの露伴ファンから『合格』が出ていることでしょう。
- おそ松さん』のおそ松が持つイイ感じのゲスさ
- 『宇宙戦艦ティラミス』のイスズ兄さんが持つ残念なイケメン臭
- 『からくりサーカス』の阿紫花の持つツンデレで斜めに構えつつ可愛げのある空気。
個人的にこの3つが合わさると、ディ・モールト・ベネな露伴先生の出来上がりです。
このように岸辺露伴の声優は櫻井孝宏さんが適任なんてすね。
『懺悔室』若い男は声優の高橋広樹さん
若い男って何だよ!?と思われそうですが、本当に公式にそう記述されているので仕方ありません。
原作でも彼には名前がないのです、主役の一人なのに。
高橋さんは、
- 『家庭教師ヒットマンREBORN』でダミ声イケメンのスクアーロ
- 『遊戯王』では勢いで生きてる熱すぎるデュエリスト城之内
などを演じています。
きっとイイ声で恐怖に吠え、運命に抗い、エキセントリックに叫んでくれるでしょう。
『ザ・ラン』橋本陽馬の声優は内山昴輝さん
露伴と筋肉に異常な執着を見せる橋本陽馬(はしもと ようま)を演じるのは内山昴輝さん。
『DEVILMANcrybaby』の不動明をイメージすると、何となく陽馬アリかな?!と思えるキャスティング。
動明の繊細さと獰猛な残忍性、普通の人間の心と共存する衝動的な暴力性の表現はとても素敵でした。
エキセントリックでゾッとする、それでいて『公正さ』というある種高潔な舞ルールに拘る陽馬がどうなるか楽しみです。
陽馬(左) 若い男(右)
JOJOキャラにしては服装は大人しめ…
でも!その髪どうなってるの?!若い男はギリギリワックスで何とかなるとして、陽馬の黒く生えている突起物?的なものは何なのか…
きっと荒木先生のことだから、『そうあるべきだったから』とか、凡人には理解できない理由で描いたのでしょう。
岸辺露伴初登場シーン第14話『漫画家のうちに遊びに行こう!その1』
実は原作者荒木先生自らがスピンアウトを描いているのは、岸辺露伴と吉良吉影の二人のみ。
露伴と吉良は共に第四部『ダイヤモンドは砕けない』の人気キャラで、やはり荒木先生の故郷仙台を舞台にしているだけに、キャラにも格別思い入れが深いのかもしれません。
そこで、アニメにおける岸辺露伴初登場の場面を振り返りつつ、彼のスペックや人柄を再確認しておきましょう。
岸辺露伴アニメ初登場シーン!実はサービス精神旺盛・普通にいい人?
記念すべき岸辺露伴アニメ初登場ぎこちらのシーン。怖い、怖すぎるぞ露伴先生!
完全に目がイってらっしゃる!しかし、悪ふざけでもなんでもなく、これが先生のアニメ初登場シーンなのです。
こうして改めて振り返ると、かなりホラーチックですね。
第14話は、間田に誘われた康一が杜王町在住の有名な漫画家岸辺露伴宅を訪問するところから始まります。
ここで語られる露伴のスペックは
- 年齢:20歳
- 職業:漫画家
- 連載漫画 『ピンクダークの少年』(サスペンスホラー。生理的に気持ち悪いシーンもあるけれど、迫ってくるようなスリルと、リアリティある人物が良い作品)
- 家 仙台の閑静な住宅街にハイセンスな戸建て 一人暮らし
これらのスペックは原則『岸辺露伴は動かない』でも同じで、ちょっと山六つ買って文無しになって康一君の家に居候したりもしていますが。
[getpost id="5537"]家に対してやたら表札が大きい岸部宅で、"自己主張の強さ"が伺えます。
ようやくまともに顔が公開された瞬間、
第一声は『何だね君たちは。何してる。悪戯かね?』性格を知っているからそう聞こえるのかもですが、イケボなのに変態っぽさもあってグッときます。
アポなしでいきなり漫画家の家に凸してくるような高校生二人を追い払うこともなく、家にあげ仕事場まだ見せてあげる先生はファンサービス精神旺盛です。
もちろんサインの1枚や2枚もお安い御用!それにしても中も立派な家で、豪邸とかお屋敷ではありませんが、20歳の一人暮らし男性の家としてはかなり贅沢。
ちなみにこちらの素敵なお家は、ほどなくクソッタレ仗助とのサイコロ勝負に熱くなりすぎて半焼。
修繕したのもつかの間、山六つ買って破産して失う始末……諸行無常(合掌)
原作タイトルである『岸辺露伴は動かない』からは、新しい家を買うなり改築するなりしてそこから『動かない』先生を連想しますが、本人の性格からして平穏な生活なんて無理なんです。
このシーンでもまた、露伴先生のスペックが明かされました。
- 3ヵ月前に引っ越してきた
・子供の頃この辺りに住んでいた(とても大切な伏線) - ごちゃごちゃした東京を嫌い、清々しい環境で仕事がしたくてのチョイス(スタンド使いだらけで殺人鬼もいる街)
- アシスタントは使わず毎週19ページ一人で描いている(白黒4日、カラー5日。余暇は旅行などして遊ぶ)
- 漫画家になった理由は人間関係が嫌だから
ここまでの露伴先生はただの売れっ子漫画家で、むしろ人間関係嫌なくせに初対面の高校生に対し不用心なほど親切。
しかし、ここから岸部露伴の狂気が牙を剥きます!露伴の本気はここからだ!!
岸辺露伴は訪れた高校生に対しても臆することなく「狂気上等」「リアリティ命!」
露伴の漫画哲学はリアリティの追及。
面白い漫画とは『リアルでなくてはいけない』という強烈なポリシーがあります。
どのくらい強烈かというと…
たまたま見つけた蜘蛛をトーンカッターで腹を裂いて殺す!
理由は『腹を裂かれた蜘蛛が死ぬ前にどんなふうに苦しみもがくのか』をリアルに知るためで、リアリティのためならば、一般的な倫理観や嫌悪感をものともしません。
味も知っておくべきだと考えれば――
躊躇なく舐めます。
凡人にとってはポルナレフの便器舐めといい勝負のキツさではないでしょうか?
あまりにグロテスクな奇行に間田が仕事場で吐いても露伴は動じません。
リアルな嘔吐顔の参考にと嬉しそうに観察します。
仕事場を汚されても怒らないけれども、少年が苦しそうに吐いていても労わらない。これが岸辺露伴で、彼に世間的な善悪を解いても無駄無駄無駄ァァァ!でしょう。
スタンド『ヘブンズ・ドアー』発動
露伴のスタンド『ヘブンズ・ドアー』もここで初めて登場。
忘れがちですが、初期『ヘブンズ・ドアー』はそう使い勝手の良いスタンドではありません。
- 波長の合う人間に露伴の描いた漫画原稿を読ませることで相手を本に出来る
- その本には相手の情報・記憶の全てが記されている
- 本になった相手にコマンドを書き込むと、その命令に逆らえなくなる
これが一番最初に与えられていた露伴のスタンド能力です。
後々、露伴の精神と共に強くなっていった『ヘブンズ・ドアー』は、原稿を媒介とせず発動できるようになりました。
つまり、露伴の漫画に全く興味がなく読もうとしない相手にも、通り魔的に『ヘブンズ・ドアー』出来るようになったということです。
こんな具合に人を本にして、プライバシーもへったくれもなく全てを読むのですが、そのことに対して露伴は一切罪悪感を持ちません。
何故なら彼はそれを指摘に『悪用』する気はなく、面白い漫画を描くための糧にし読者に還元しているからです。
康一の経験してきた奇妙な出来事に大興奮する露伴は面白い漫画を描くためのインスピレーションを得ることは、彼にとって至福の時間なのでしょう。
岸辺露伴のこのスタンスはシリーズ通してぶれることは一切皆無。
4部アニメ、小説、『岸部露伴は動かない』全編を通して彼の人生のテーマは『ただ面白い漫画を描くこと』であり、漫画家として正しくあるためには人として間違うことを恐れません。
ちなみに先生はこの一件以来、康一をとても気に入り、自宅が亡くなれば康一宅に強引に居候するほどに。
まとめ
アニメについてというか、もはや岸辺露伴についてガッツリ語ってしまいましたが、このエキセントリックなキャラクターが原作のままのイメージで完全にアニメ化されているのをご自身の目で確かめてください。
最後は露伴先生の名セリフでお別れしましょう。
『この岸辺露伴が金やチヤホヤされるために漫画を描いていたと思っていたのか!!僕は読んでもらうために漫画を描いている!読んでもらうため!ただそれだけのためだ!』
このセリフに彼の全てが凝縮されています。
漫画至高主義故に、次回お話する『六壁坂』で山6つ取材のために買って破産もするし、明らかにヤバイ『懺悔室』にも居座るんです。